新建 文本文档_156
egxcz
瑜贰ⅳ扦悉长长轱wび降りよ。」
大久保の言葉に全員が唖然とした。800mの高さがあるのだ。正気の沙汰とは思えない。
「よいから飛べ。安心せ。このエレベーターの開発には勝というゾンビおたくも係わっておってな、シャフト内の磁力とゾンビの発生する磁力が反応する仕組みになっておる。まるで水の中に沈んでいくようにゆっくりと落下していくはずじゃ。二人分の抵抗力ならばわしとヒコが掴(つかま)っておっても問題あるまい。さて、行くぞ。」
そう言うと山岡の手を引っ張ってシャフトに引きずり込んだ。悲鳴とともに闇に飲み込まれていく。

 取り残されたのは坂本祥子と斎藤。向かってくるゾンビの群れに銃撃を浴びせた。
「行け、祥子。ここは俺が受け持つ。」
斎藤の言葉。坂本は左手に持っていた刀を斎藤に渡し、その頬に優しく口づけをした。ゾンビのジャケット ファッション
ジャケット メンズ ブランド
ダウン セールduvetica
悪臭のなかで坂本の香りが斎藤の鼻孔をくすぐる。
「あなたにあげるわ。私にはもう必要ない。ここはよろしくね。」
受け取った刀は菊一文字であった。鞘はない。刃には脂ひとつ浮かんでいなかった。沖田春香の遺物だと直感した。その瞬間に斎藤のなかで何かが音をたて切れた。嫉妬、独占欲、憎しみ、悲しみ???。エレベーターシャフト内のはしごを降りようとこちらを向いた坂本祥子の額目がけて斎藤は刀を振った。頭蓋骨が割れる手ごたえ。返す刀で首を斬る。白く細い首。あの夜、何度も吸った肌だった。
 坂本祥子は闇に消えた。
4章 終幕

第4章 死霊所(しれとこ)潜入編   終幕

 あれから四百年が過

N3437BM-58
egxcz
*8話連続で更新しております。最新話の始めは「22:遺跡」になります。
ご注意ください。
********************************************
23:嫉妬


食後の後の事だ。
ホテルの部屋でゆっくりしていた所、ベルルがテラスに出て夜風をあびていた。
生暖かい風が部屋へ入ってくる。その風によりベルルの髪が揺れ、月と海の見える景色と溶け合い美しく思った。

「どうした、ベルル」

僕はベルルの隣に並び、彼女がその青い瞳に一生懸命に刻んでいる景色を確かめる。
月明かりに照らされた海の穏やかな波が、ここからでも良く分かる。

「旦那様、素敵な景色ね。海と夜の空が、ずーっとまっすぐな線で区切られているみたい。海の上に、月が浮いているかの様だわ。とても感動してしまって、私、たまらなくきゅーってなっちゃったの。世界って、色々な顔をしているのね」

彼女は「ふふっ」と微笑んだ。
ベルルの様にadidas originals
adidas originals 店舗
adidas アディダス
素直に感動出来るのは、素晴らしい事だと思う。
彼女は僕なら見過ごしがちな景色も、純粋な心で逃す事無く見つけ出す。

そこが、彼女に惹かれる魅力の一つだと、僕自身良く分かっている。


「うわあああん、お兄様あああ〜〜〜」

そんな風にベルルと共に穏やかな時間を過ごしていた時、下界から大きな泣き声が聞こえた。
ここはホテルの4階ほどで、下界はちょっとした庭園の様になっているわけだが、目を凝らすと昼間にも会ったペリーヌがわんわん泣いている。

「まあ、ペリーヌちゃんだわ」

「……いったいどうしたんだ」

どうしようかと思ったが、とりあえず僕は部屋を出て、彼女が泣きながらつったっていた庭まで出た。
幼い女の子がこんな夜中に一人出歩くなんて、危険だ。

「どうしたんだいペリーヌ」

「……おじさん」

ペリーヌは、僕が現れた事で余計目をうるっとさせ、泣きながら抱きついてきた。

「どうしようおじさんっ。お兄様が帰って来ないの!!」

「……え?」

彼女があまりに泣いて、詳しい状況を上手く聞き出せないので、とりあえず僕らの部屋へ連れていく。
ペリーヌは昼間と同じ白いワンピースを着ていたが、転んだのか少し汚れていた。






お茶を出し、ペリーヌが落ち着くのを待った。
彼女はぐすぐすとしながらも、一口お茶を飲む。

「いったい、何があったんだいペリーヌ」

「……お兄様が戻って来ないの。お兄様は用事があったから、私に、部屋で待っていなさいと言って出て行ったのだけど、全然戻って来ないから不安になって探していたの」

「……」

「きっと、お兄様、悪い奴に掴まっちゃったのよ。お兄様を狙う悪い奴、沢山居るんだもの!!」

ペリーヌは膝の上のスカートをぎゅっと握って、涙をポロポロと零していた。
僕からしたら、もう少し部屋で待ってみたらどうだろうと思う所だが、彼らには彼らの事情があり、ペリーヌの不安もそれらに基づいているものだ。
一概に、心配し過ぎだよとは言えなかった。

「どうしよう。お兄様まで居なくなっちゃったら、私本当に一人になっちゃう。……国を追い出されて、帰る所も無いのにっ。お兄様しか、信じられる人は居ないのに……っ」

「……ペリーヌ」

僕は少し哀れに思った。
強気でませたお嬢さんだなと思っていたが、そうやって虚勢を張って無いと守れないものもあったのだろう。彼女の言葉の節々から、今まで多く苦労したり、危ない目にあってきたのだと分かる。

ベルルも何か思う所があったのだろうか。
少し目をうるうるとさせていた。

「どうしようか。とりあえず、もう少しだけ待ってみて、いよいよテオルさんが戻って来なければ、少し探しに行ってみよう。杞憂かもしれないが、もしかしたらと言う事もあるし」

「……うん」

「大丈夫だよペリーヌ。テオルさんだって、用心しているさ。きっと、仕事が長引いているだけだ」

僕はペリーヌにそのように言って、安心させようと背を撫でる。

「わ、私……お部屋で一人で居るの嫌だわ。ここに居ても良い、おじさん?」

「良いけど、テオルさんが戻ってきたら、驚くよ。君が居ないと」

「だったら、置き手紙をするわ。おじさん、ついてきてちょうだい」

ペリーヌは椅子から立ち上がって、僕の腕を引いた。
何だか少しだけ懐かれた様だ。

「……」

その様子を見て、ベルルが少なからずムッとしてたので、僕は冷や汗。

「ベルル……ちょっと行ってくるよ。君も来るかい?」

「……いいえ。ここに居るわ」

こう言う時について来ないベルルは珍しく、やはり少し拗ねているのかと思って、彼女に何か気の利いた言葉でも言えたらと思ったが、ペリーヌに「早く早く」と手を引かれたので、やむおえず。

結局、ベルルを置いてペリーヌについて行く事になってしまった。






「おじさんって、初めて見た時は頼り無さそうなへらへらした人だなって思ってたけど、案外優しいのね」

「……相変わらず辛辣だな」

「ま、素敵度で言えば、お兄様には遠く及ばないけど」

ペリーヌは僕らの部屋よりずっと上階にあるロイヤルルームの鍵を開け、自室に置き手紙をした後、再び部屋を出てきてそう言った。
僕は部屋の外で待っていた。

「お兄様、本当にどこへ行っちゃったのかしら……」

ペリーヌは先ほどの取乱していた様子とは違い、落ち着きを取り戻した様だった。
とは言え、テオルさんが居ない間は、幼い少女一人だと寂しいだろうからな。

「さあ、部屋へ戻ろう。デザートでも頼んで、少し待ってみよう」

「……うん」

ペリーヌはぎゅっと僕の腕を取って、クスクス笑う。
その様子は、12歳の少女の様にも見えたし、少し大人ぶった態度にも見えた。






「旦那様!!」

部屋へ戻ると、すぐにベルルが迎えてくれた。
しかし、ペリーヌが僕の腕にくっついているのを見て、またもやムッと膨れっ面になる。

「ねえおじさん、私、ラズベリーのアイスクリームが食べたいわ!」

ペリーヌは無邪気にそう言って、僕の腕を引いて部屋の中へ入っていく。

「わかった、わかったよ」

とりあえずペリーヌを席に座らせて、ルームサービスでアイスクリームを頼む事にした。
僕はちらりとベルルの方を見て、彼女にも聞いてみる。

「ベルルも、何か頼むかい?」

するとベルルはいそいそと寄ってきて、背中の服をぎゅっと握って心もと無く呟くのだ。

「……バニラのアイスクリーム」

「……」

僕はそんなベルルの様子を見て、たまらなく彼女を抱き締めたくなったが、ペリーヌが早く早くと言うので、部屋に備え付けの空中伝書にてアイスクリームを二種類注文する。

その間、ベルルは僕の服の背を握ったり折ったりして弄っていたが、やがてパッと離して、近くのソファにちょこんと座ってしまった。

ペリーヌはそんな僕とベルルの様子を見て、クスッと笑って言う。

「ねえおじさん、私、本当はお兄様が一番好きだけど、お兄様とは結婚出来ないから、おじさんと結婚してあげても良いわよ」

かなり冗談チックにコロコロ笑う。多分ベルルを煽っているんだろうなとは分かっていた。
僕は「おいおい」と呆れ顔であったが、ベルルはバッと立ち上がって、必死になって反論する。

「だっ、ダメよ! 旦那様は、私の旦那様だもの!」

「ダメな事無いわよ。私の国じゃ、一夫多妻制だったもの」

「〜〜〜っ、ダメよダメよ。ダメなものはダメなの!!」

ベルルがムキになるので、ペリーヌが鼻で笑って冷静に返す。

「そう言う国もあるって事よ。一夫多妻制だったら、いくらあなたがダメって言っても、意味無いんだから。私のお父様も、お母様の事をすっかりどうでも良くなってしまって、新しい奥さんに夢中だったもの」

「……っ」

ベルルは多分“一夫多妻制”の意味もよく分かっていないだろうが、難しい言葉を幼い子供に言われて戸惑っていた。
涙目で不安げな表情が可哀想で、僕はあわあわと彼女の側へ寄る。
大丈夫だ、リーズオリアは一夫多妻制ではないよ、と言おうと思った。……まあ、政略結婚が普通だから、こっそり愛人をつくっている貴族様方はとても多いけど。

しかしこんな時にタイミング良くルームサービスが届いたりするものだ。
僕はドアの方へくるっと向き直り、直進。すぐにルームサービスで頼んだアイスクリームを受け取って、ペリーヌの所まで持って行った。

「ほらペリーヌ。ラズベリーのアイスクリームだ」

「わあいわあい」

ペリーヌは無邪気に足をばたつかせ、赤い色のアイスクリームを喜んだ。
もう一つの、真っ白なアイスクリームをベルルの方へ持って行く。

「ほらベルル」

「……うん」

ベルルは小さな手で、僕が渡すアイスクリームのグラスを受け取った。
不安げに僕を見上げるので、彼女の隣に座って、肩を抱く。

「美味しいかい?」

「……うん」

ベルルはちびちびとアイスを口にしては、何度となく僕の様子を伺う。

「……旦那様、あーんして?」

「ん?」

ベルルが僕の口元に、スプーンで掬ったアイスクリームを持って来たので、それを口にする。

「おいしい?」

「ああ、美味いな。ありがとうベルル」

「……うん」

彼女の頭を撫でると、頬を染め嬉しそうにした。
だけどやはり、頼りなく不安げな様子が目に見えて分かる。ペリーヌの言った事が気になって仕方が無い様だ。

ペリーヌは面白く無さそうに僕らの様子を横目に見ていた。
そもそも彼女はどうしてベルルをそこまで敵視するんだろう。

ペリーヌに簡単に言い負かされるベルルが、可哀想で愛おしいが、ペリーヌの居る所で大げさな愛情表現が出来ない所が悔しい。

「あ、お兄様から伝書が届いたわ」

ペリーヌは腕につけている空中伝書の腕輪に、一つ伝書が届いたのに気がついたようだった。
伝書があるなら、わざわざ部屋に置き手紙をしなくても良かったんじゃと思ったが、まあそこが子供らしい非効率な部分だなと思ったり。

「……っ!」

しかし、ペリーヌの表情が一変したので、僕は何事かと立ち上がる。

「……お、お兄様……お兄様、やっぱり何か事件に巻き込まれたんだわ!!」

「何だって?」

「だって、お兄様今、神殿に居るんですって。プアムノ神殿よ!! 絶対に部屋から出るな、ですって。怪しいわよどう考えても!!」

「……」

気になって立ち上がり、ペリーヌに届いた文書を読んだ。
そこにはこう書かれていた。

『ペリーヌ。遅くなってすまない。僕は今プアムノ神殿に来ている。少し厄介な事になったが心配するな。君は、絶対に部屋を出てはいけないよ』

僕は首を傾げた。
どうにも状況の分かりづらいメッセージである。

しかし、何やらきな臭さの漂う文面だ。色々と事情のある人だから、事件に巻き込まれた可能性は十分にある。でももしかしたら、テオルさんの空中伝書の腕輪を使い、ペリーヌを呼び出そうとしている者が居る可能性もある。

「お兄様!!」

ペリーヌは部屋を飛び出した。
僕は彼女を呼び止めようとしたが、気がつけばホテルの廊下の、ずっと向こう側まで行ってしまっていた。

「ああ、もうっ」

なんて娘だ。後先考えず部屋を出て行ってしまって。

「ベルル、僕はペリーヌを追う。君はここで待機していてくれ」

「で、でも旦那様……っ」

「いいね、ベルル。大人しくしているんだよ」

ベルルは首を振って、僕の袖を掴んでいた。
いつもはとても聞き分けが良いのに。

「い、嫌よ旦那様」

「そうは言っても、このままペリーヌを放っておく訳にはいかないだろう!!」

僕は焦っていた。
もう少し、ベルルの不安そうな表情の意味を考えれば良かったのに、少しキツい口調になってしまう。

ベルルはビクッとして、それ以上何も言わなかった。

僕はそんなベルルが気になったが、今はペリーヌの方が優先だと分かっていたので、結局ベルルを部屋に置いて出て行ってしまう。
もやもやと、嫌な気分だけを胸に抱えて。

でも多分、もっともやもやとしていたのはベルルの方だったろう。

N4527BC-133
egxcz
Sense133

「セイ姉ぇ、火力高過ぎ……。遭遇する敵全部一撃って」
「いやいや、ユンちゃんの索敵能力とエンチャントとカースドの場作りは有難いよ。ユンちゃんのお店のエンチャント・ストーンよりも上昇率高いんじゃないかな? まぁ、何にせよ、二人でもサクサク進んで、宝箱の回収が捗るよ」

 俺たちは、今ダンジョン最深部の一歩手前。第四層の後半に居た。
 ここまでは、第三層のMOBの魚群をセイ姉ぇが全てマイナス30度の瞬間冷凍により倒し、第四階層のMOBは、魚の体に胸ビレや背ビレが進化し、手足のようになった魚人・サハギンバーバリー レディース
バーバリー 手袋
バーバリー ダウン
を百度を超える高温のスチームに晒され、火も使わないスチームクッキングを実行しているようにさえ思える。
 俺も援護射撃やMPポーションの回復、逃げ道を塞ぐための地属性魔法の【クレイ・シールド】を使うなど、非常に有意義な時間だが。

 俺の目の前に、また新たな敵が現れた。

「なんだ、今度は色違いのサハギンか」

 通常のサハギンは、背中が青白い色で腹に向かって白くなり、ぎょろりとした出目が特徴で、手には粗雑な作りの銛やナイフが握られ、腰には、襤褸布が巻かれている。
 しかし、通常のサハギンに囲まれた色違いのサハギンは、体全体がサハギンに比べてスマートで、背中が黒っぽい青で銀色に輝く美しい腹が、洞窟を照らす青白い光源によって、マリンブルーの美しさを持つ。更に、体の各所を白銀の部分鎧を装備している。
 魚の癖に、なんて美のこだわりを……。まさに、サハギンのイケメン。エリート・サハギンとでも言おうか。
 そして、セイ姉ぇが、そのエリート・サハギンを見た瞬間、表情に驚愕の色を見せる。

「あ、あれは――レア物だよ。ユンちゃん。サハギンじゃないサハギンだよ」
「はぁ……そうなの?」
「サハギンの中の変異種。百匹に一匹のレアなサハギン。その名も――サバギン」
「って、サバかい!?」

 いや、何か他のサハギンには無い物があるはずだ。例えば、サハギンの三倍の強さとか、ドロップにサハギンとは違う強化素材や微レアな武器が手に入ったり……。

「なんと、強さはサハギンの二倍……」

 この時点で三倍ではないが、強いことは分かった。いいぞ、サバギン。頑張れ――

「そして、旨味成分は、三倍。ドロップは、サハギン印のサバ缶だよ!」
「結局、食料かい! ってサバギン捕食される側かい!」
「因みに、このサバ缶は、食べると、一時間の間HPとMPの上限を一時的に上げる効果があるんだよ」
「うわっ、無駄に高性能なサバ缶」
「高級サバの缶詰にも引けを取らない味。まさに、狩るには不足しない」

 この洞窟に出現する敵は、鱗や骨などの素材の他にも、魚の切り身やエビ丸ごとなど食材アイテムが手に入る。魚介類の宝庫だ。
 サハギンは、精々、水属性の追加効果が付いた微レア装備をドロップする。
 だが、結局サハギン種も食べられる奴が居たとは……。

「あれだよな。サハギンの外見見ると、サバ缶を食べる気には成れないんだが」
「そうかな? 一度食べると、病みつきだよ」

 そう言いながら、敵の索敵範囲のギリギリの距離から強化したスチーム・ピラーを放出し、サバギンを炙っていく。他に居た固体は次々に倒れていく中で、サバギンだけがセイ姉ぇの超火力の魔法を耐えきり、こちらに銛を掲げて突撃を始める。
 あのサバギンが、セイ姉ぇの超火力神話を打ち砕き、襲ってくるが、それでもダメージをかなり負っている。単身で俺たち二人へと突撃するが、俺は正面から矢の連射でセイ姉ぇの次の魔法までの時間を稼ぐ。

「キャァァァッ――」
「さっさとサバ缶に成れ!」

 毒矢、麻痺矢、魅了矢と次々と状態異常の矢を放つが、走る勢いは止まらないサバギン。状態異常に耐性を持ってるのか。地味に強いな。
 セイ姉ぇが次の魔法を撃つまでが俺の役目。弓を仕舞い、包丁を引き抜く。
 さぁ――料理しようじゃないか! 三枚に下ろして、調理してやろう!

 まずは、体の全面にある胸ビレのマーカーへと包丁を突き刺す。下から上へと突き上げるような角度で包丁を入れ、手首を捻り、右側へと包丁を振りぬく。
 俺の一撃に対して、素早く武器を振るうが、素早いのに切れの無い動き。バックステップで余裕で避け、そのまま、右側へと回り込み、腕と化したヒレを脇下から掬い上げるように、包丁を入れる。
 サハギンより強く、集団としての戦闘に特化したサハギン種だが、一対一の変異体に、恐怖は無い。
 寧ろ、次の動きが漠然とだが分かり、先読みで次へ、次へと。ミカヅチとの対人戦に比べれば、かなり温い戦いだ。
 回り込んだ右から更に、速度エンチャントで加速し、首の後ろにあるマーカーへと包丁を差し込み、抉るように手首を回す。
 サバギンのHPは、もう殆ど残ってない。あと少し、たった一撃で倒れる。
 俺は、相手の攻撃を誘発するような位置取りをする。

(さぁ、来い、来い来い来い。来たっ!)

 銛を掲げ、突く動作に合わせて、前へと出る。サバギンの体に張り付くように刃物を白い腹に突き立て、一気に体重を掛けて、下へと強引に引き裂いていく。
 相手の抵抗で、俺は銛を持たない手で殴られ、吹き飛ばされてしまう。滑りやすい地面を滑るように倒れ、直ぐに反撃できるように包丁を構えるが、それは全て無駄だった。
 先ほどの一撃が最後の足掻きだったようだ。そのまま、腕を振るったまま、体が勢いに流され、倒れていく。

「お疲れ様。ユンちゃんは、一対一だとこの階層の敵と戦えるんだね」
「セイ姉ぇ。ミカヅチに比べたら、全然。あー、でも最後の一撃でHPの三割持ってかれた」

 俺は、ハイポーションでサバギンから受けたダメージを回復する。決して、前衛向けじゃないのに、無理に体張って戦って。割に合わないな。と思ってしまう。

「と、言うよりもセイ姉ぇ。俺がサバギンに止めを刺す前には、もう魔法の準備終えてただろ」
「あっ、バレてた? ユンちゃんがどれだけ戦えるかを見たかったんだよね」
「まぁ、良いけど……。で、如何する? 最下層のボスに挑むのか? それとも、ここで帰るのか?」

 正直、ここまで無事に戦えたとしても、ボスが同じように戦えるとは思わない。むしろ、パーティー推奨の敵にたった二人で挑むのは、少々無謀なようにも感じる。

「ユンちゃんの後学のために、ボスだけ見に行く? 一応、外からボスを見ることが出来るけど。それに、最下層はボス以外は出てこないから」
「じゃあ、降りようか」

 最下層の階段を下りていく。今までは、階段の光源も十分にあったのだが、ここだけは、進むにつれて光源が絞られ、非常に薄暗く、足元が危うい印象を与える。

「セイ姉ぇ、足元に気を付けて」
「大丈夫だよ。それよりユンちゃんも気を付けてね」

 湿って薄暗い場所だが、俺は、暗視に適応したセンスがあるために、滑り易そうなところは避けて降りている。
 階段を降り切ると、広い円形の広場が広がり、その向こうには通路が一本伸びているだけだ。他には何もない。休憩スペースのようだ。

「さて、ここがボスと戦う前に一休みする場所だよ。前にパーティーが居るか分からないから様子を見に行こうか」
「待たなくて良いのか?」
「別に手を出す訳じゃないし。ボスの直前にもここより小さいけどスペースあるんだし」
「分かった。セイ姉ぇに従うよ」

 セイ姉ぇの後を追うように、通路の一本道へと入っていく。通路は、薄暗く作られ、距離感を狂わすように出来ているが、案外通路の距離は短いようだ。通路を抜けた先には、先客のグループが居るようだ。
 ただ、雰囲気と言えば良いのだろうか。どこか、場違いな感じがする。

 何が違うとは分からない。ただ、手に各々の武器を握っているし、血気盛んな感じはボスと戦う前の興奮と取れなくもない。そのパーティーは、どこか浮足立っているのも、逸る気持ちを抑えているようにも感じるのだが、どこか怖い感じがする。
 表情や雰囲気が非常に攻撃的なのだ。

「セイ姉ぇ、先客が居るようだけど……なんか。なんというか、変な感じ」
「あっ、居るんだ。どんなグループ?」
「えっと、武器を持って、浮足立ってる。かなり攻撃的な雰囲気で……」

 何と言えばいいのか。関わり合いたくない。
 遠視センスで一方的に見ているために、相手には気づかれていないが、見ていると気分が悪くなる。

「ふ~ん。嫌だね。こんな所まで来ていたのね」
「セイ姉ぇ。一人で納得しないでくれよ」
「ごめんごめん。けど、ちょっと私に付き合ってくれる? あっ、少し面倒くさくなるなら顔は隠して」
「えっ、分かった」

 俺は、インベントリからマントとマスクを取出し、すっぽりと被る。

「じゃあ、行くね。全部、お姉ちゃんに任せれば大丈夫だから。黙っててね。あっ、あと何時でも攻撃できるように、お願いね」

 何をするんだ、セイ姉ぇは。聞くのが怖い中で、突き進んでいく。
 隠れるとか、忍ぶなんて無く、極々自然体で進んでいく。

「やぁ、どんな感じですか?」

 陽気に、愉快に。薄暗い広場に反響するような声。それに対して、目の前のグループは非常に鬱陶しそうに、舌打ちをして来る。その様子に、むかつくが、セイ姉ぇに黙ってるように言われた。俺はただ直立不動のまま、マントの下では包丁とマジックジェムを隠し持っておく。

「どうもねぇよ。何だよ、てめぇら」
「そんなに殺気立って、前のグループはどんな感じかな?」
「そんなもん、自分で見やがれ」

 不愉快な言葉遣いにも淡々と答えるセイ姉ぇだが、近くに居る俺は、陽気に愉快な雰囲気の中に、蛇のような狡猾さを感じ、背筋が泡立つ。

「あー、そう言えば、こんな話知ってる?」
「あんだよ! キルすっぞ!」
「最近ね。ダンジョン内で悪質な行為が横行しているんだよね。人の少ない時間帯を狙って、ボスに挑むパーティーを後ろから狙いキルするPK集団」
「……」
「あれだよね。怖いよね。ボスに集中している時に、背後からズドンだもんね。しかも、自分たちがギリギリまで追い込んだ所でヤラれるから割合が合わないし、追い詰めたボスのドロップもキルされて、その場に居ないから得られないし……」

 口調が、陽気な雰囲気から少しずつトーンを押さえ、共に顔に浮かべた人の良さそうな笑みも少しずつ抜け落ちていく。

「だから、あんまり人の嫌がる事は、やらない方が良いよ。――【フォッシュ・ハウンド】の皆さん」
「「「――っ!?」」」

 目の前のグループが息を呑むのが分かる。そして、俺もマスクの下では、驚愕の表情を作っている。セイ姉ぇは最初から相手が誰か知っていたのか。
 そして、相手の行動の違和感にも気がついた。あれは、ボスと戦っているプレイヤーをキルするタイミングを計っていたのか。
 俺たちの乱入。下手をしたら、有無を言わさずに斬られていたかもしれない。と思うと更に背中に冷たい物が流れる気がした。

「自分たちの事が知られていないとでも思ってるの? 一応、誰が、どこで、何をしたのか。意外と知られているよ」
「う、煩い!」
「あー、私たちと戦うの? そっちは五人。こっちは二人。だけど、分かってる? 相手が誰で、君たちの目的を考えた時」
「……」

 セイ姉ぇは、暗に、落とし所を提示した。自分は、名のあるプレイヤーで、やり合えば互いに無駄に消耗する。そして【フォッシュ・ハウンド】と言えば、生産者たちにそっぽを向かれた不躾な一団の一つで絶対的に消耗品が足りていない。
 ここは俺の推測だが、【フォッシュ・ハウンド】は、ボスの強化素材などを狙い、ダンジョンを潜る。ダンジョン内には、微レアやデフォルトの消耗品も手に入るが、それらを使って、ボスに挑むのは余計な消耗を生む。だから、少ない労力で結果の残せるやり方を選んだ。
 もし、ここで俺たちが戦えば、潤沢なアイテムを使える二人組と消耗品を余計に消耗することの出来ない五人。ここで俺たちを退いても、その後PKを成功させることが出来るのか、または、出来ても残ったボスを討伐できるのか。それらの成功率は一気に下がるだろう。
 ここで引けば、ダンジョン内を巡って集めた消耗品は残るだろう。

 さぁ、相手はどう出るか。 

「ちっ、行くぞ!」
「良かった。出来れば、真っ当にゲームを楽しもうね」

 【フォッシュ・ハウンド】の一団は、苦々しげな表情で足早に去っていく。その中の一人が聞こえないほどの声だが、確かに口が動いたのを見た。すまん、と。
 俺は、見通せなくなるまでその背中を見つめ続け、警戒を続けたが、あっさりと去って行った。
 相手が見えなくなってから、マントとマスクを外して、大きく緊張で溜まった息を吐き出す。

「ふぅ、何とか行ってくれたね」
「無茶するなよ。びっくりするだろ、全く」

 今回は、上手く相手が引いたが、言葉を交える前に襲ってくるかもしれない。または、俺たちが一人の時に狙われるかもしれない。俺としては、面倒事には関わって欲しくないのが本音なのだが。

「あの中にも、自分が迷惑な事している。って自覚を持っている人もいるんだよね」
「そうだな。でも、俺たちが言っても変わらないだろ」
「そうだね。私たちが言っても変わらないね。でも、組織として、集団として何も出来なくすることは出来る」

 セイ姉ぇが語るのは、今行っている【フォッシュ・ハウンド】【獄炎隊】への対抗手段。
 ゲームなのだから、プレイヤー同士が戦ってケリを付けるなどしない。搦め手を主とした対抗手段だ。
 ネットによる情報の拡散。随時、相手の行動を報告するネット民。そして、断片的な情報を繋ぎ合わせて、両ギルドのメンバーを高い精度で割り出し、警戒を広げる。
 相手が行動を起こせば起こすほど、関係の無い一般プレイヤーや新規参入者に白い目を向けられる。
 こちらが何かする必要はない。相手を吊し上げて、居場所を徐々に無くして追い込む。
 最終的には、他人の目を気にして下の者が自然と離れて行き、自然消滅するまで徹底的に情報を更新していく。

「手法が悪辣だろ」
「でも、一番有効な手段であり、流れなんだよ。これは誰かがこうしよう。って決めたことじゃなくて、自然と形成された流れであり、出る杭は打たれる、を体現したような現象だね」
「まぁ、俺も自分で何かをしようとは思わないがそのギルドとは関わり合いたくないし」
「そうそう、そう言う考えの人が集まれば、無言の圧力になるんだから」

 そんな物だろうか。首を捻っている間に、別の足音が響く。今度は、自分たちが来た方とは逆。ボスの居る場所からだ。どうやら、先に戦っていたパーティーは勝ったようだ。

「こんにちは」
「こんにちは。セイさん、今日はどうしたんですか?」
「ボスを見せに来たんですよ。この子のために、ね」
「うわぁーっ! ユン様だ、セイ様も」

 この女性プレイヤーは、俺を頭の先から足先まで眺めている。それにしても何故様付けを。そして、セイ姉ぇも苦笑を浮かべている。

「ユン様とセイ様、ミュウ様と言えば、OSO美少女三姉妹として有名だし、精力的にOSOをプレイするプレイヤー! きゃぁ、こんなダンジョンの奥で会えるなんて!」
「あー、すまん。こいつ、一部の人間に感化されて神格化してるみたいで……」

 俺の顔が引き攣っているのを見て、相手のパーティーの一人が謝ってきた。
 まぁ、様々な原因が複合的に絡まった結果と言えるが、多分彼女の想像しているユンという人物の偶像は俺とは結びつかないだろう。

「それに、つい最近だって、レイド・クエストを発見した。って聞きましたよ! 発見自体が凄いです! 私たちもそれに挑戦する準備としてボスを倒してレベル上げと素材集めをしていたんです!
「お、おう、頑張れ」
「はい、きゃっ、ユン様に頑張れって言って貰っちゃった!」

 女子らしい高いテンションに押されて、少しタジタジになる。セイ姉ぇも相手のパーティーリーダーと何やら楽しそうに談笑している。

「セイさんのギルドは、クエストどうするんですか? うちは、ギルドじゃないんで、いくつかのグループを誘ってやろうと思うんですけど」
「うち? うちも最初は、希望者募って、複数のグループで挑戦するつもりだよ。けど……血気盛んなミカヅチはどうかな? 明日当たりにでも、十数人ほど引き連れて、負けて帰ってくるんじゃないかな? まぁ、弱点や攻撃パターンの情報くらいは持って帰ってくれるんじゃなかな?」
「あはははっ、完全にギルドマスターが捨て駒扱いですね」
「そんな捨て駒だなんて。本人は分かってて無謀に挑戦しているんですから狂犬くらいじゃないと」
「おっと失礼」

 この二人は、ミカヅチに何か恨みでもあるのか。確かに血気盛んなのんべぇの残念美女のミカヅチに対して……うん、適切だ。むしろ大人としてちょっと自由人で腕が立ち、俺に料理を要求する姿を思い出すと、苛立ちを思い出す。

 そうして俺たちは、互いに、何が手に入った。何をしたなど。プレイヤー同士の生の情報交換を味わった。普段は、知り合いが情報を運んでくれるが、中には俺への情報が意図的にシャットアウトされていたんじゃないか。と思うような情報がぽろぽろと聞こえる。

 曰く、店を構えるやり手の生産者。
 曰く、弓を持てば、矢は必中の弓の名手。
 曰く、強力な使役獣を連れて歩く調教師。
 曰く、変身を残しているのではないか。

 そのどれも俺の評価なのだが……。微妙に合っているような、合ってないような。
 店を構えるが、やり手ではないし。
 弓は持つが、名手ではない。
 使役MOBを連れているが、戦闘力が低い幼獣だし。
 変身とは、エンチャントによる自己強化だろう。

 つまり、話が誇張されているのだ。
 その場で全てを否定したが、認められなかった。本人なのに。

「じゃあ、ボスを見てから一緒に地上に戻りますか?」
「そうですね。帰り道の宝箱とかも回収しながら、戻りましょうか。ユンちゃん、あれがボスだよ」

 リポップした地形ダンジョンのボス。その姿に、俺は息を飲む。
 双頭を持つ鮫だった。右の頭は、鈍角な頭を持ち、石のように固く、細かな傷を持っている。左の頭は、鋭く剃刀のように細い頭とサメ肌特有のざらつく肌を持つ。

 ボスの名は――ツインヘッド・シャーク。

 左右で全く違う突撃攻撃、尾びれによる攻撃。また水属性の魔法などを使い、広いドーム状の空間を自由に回遊するために捉えるのは難しい。最初から難易度が高いが、HP減少による攻撃パターンの変化やステータス変化はないために、慣れれば戦い易い敵という認識だが――。

「鮫なのに、ちょっと顔が……」

 ボスは怖がられて当然と身構えていたのだが、頭を打ち付けた右の頭の鮫など目の所に刀傷のような交差する傷があるし、左の頭はパーツが鋭く狂暴そうなのだが……

「出目って。全部怖さとかぶち壊しだろ。なんか、鮫っぽい怖さが無い」
「まぁ、ボスなんてこんなもんだよね。変なのも居るし、怖いのも居るし。今回は深海魚だから、変顔なのかもね」
「愛嬌ある顔だよね。でも、強いんだよ」
「なんか、納得いかない」
「はいはい。ユンちゃん、そんなに怒んないでよ」
「怒ってない」

 セイ姉ぇに宥められるが、元々それほど怒ってない。ただ、ボスの顔を見てツッコミを入れた点では、まだゲームに慣れて居ないと思う。これで初見のボスにツッコミすら無くなったらきっと俺もミュウやセイ姉ぇの仲間入りだろう。
 それだけは止めよう、常に敵MOBの外見を評価し、何らかの利点欠点を見つけよう。そう無意味な方向性で新たな決意をするのだった。

N5011BC-71
egxcz
第1話 カムラー(前編)




 1

 美しい景色だ、とバルドは思った。
 ここトバクニ山から見下ろす王都の景観は、これまで見たことも想像したこともないものだ。
 そもそもこれほどに住居が密集していることが信じられない。
 それはこの都に暮らす人の数が多いことを示している。
 人の数はすなわち国の力である。
 パルザム王国の国力は、辺境育ちの騎士には見当もつかない、すさまじいものなのだ。

 テーペータバール・エ・ライヒ。
 すなわち、|天母神《てんぼしん》の乳をしぼり固めし都。
 その名の通り、トバクニ山からちょうど正面に見える|宮城《きゆうじよう》は、ただ|皓《しろ》い。
 その巨大さ、荘厳さは、|神々の庭《ガルデガット・ライエン》の|神座《かむくら》をそのまま地上に降ろしたかのようだ。
 この地の特産品である|白輝石《はつきせき》をふんだんに使っているのは、宮城だけではない。
 その周囲を取り巻く〈|特区《イザネル》〉、すなわち騎士貴族たちの邸宅もまた、多く白輝石を使っている。
 だから、〈|上街《フオメガ アンティーク
時計 オメガ
オメガ レディース
ラーエ》〉、すなわち富裕平民の居住区との境界は、この距離からみると不思議なほどくっきりしている。
 平民は建物に白輝石を使うことが許されないからだ。
 その一つ一つの建物が、豪壮で手の込んだ作りになっており、辺境では想像もつかないような豊かさがここにあることを示している。
 それに比べ、〈上街〉と〈下街《ユーエ》〉、すなわち下層平民の居住区との境界はあいまいだ。
 同じ〈上街〉でも〈特区〉に近いほど家は立派で、〈下街〉に接する地域の住民はほとんど下層平民と変わらない。

 ちゃぷり。
 バルドは湯を右手ですくって左肩に掛けた。
 目を閉じて天を仰ぎ、心地よさを満喫する。
 尻と背中に感じる|乳練石《にゆうれんせき》の肌触りが心地よい。

「そろそろ、肌が湯になじみ、血のめぐりも落ち着いてきたようですな。
 それでは、酒と食べ物を運ばせましょう」

 バリ・トード上級司祭は、そう言うと、下僕に目線で指示を与えた。
 この人物を接待役に選んだウェンデルラント王には感謝せねばならない、とバルドは思った。

 バルド・ローエンは、ここよりはるか東方の辺境で、〈大障壁〉の裂け目から侵入する魔獣を討つことに一生を捧げてきた騎士である。
 窮地に落ちた主家の助けになればと、すべての財産を返上して放浪の旅に出た。
 死に場所を探すはずの旅は、生きる力をこの老騎士に与えた。
 それだけではない。
 新たな剣を、馬を、友を、家族を、そしていくたの人々との交わりを与えてくれた。

 傷だらけの体は、温泉の熱気に上気し、温かく色づいている。
 バルドの目の前に、板きれに乗ったゴブレットが差し出された。
 バルドがそれを取ると、左隣で湯につかっているバリ・トード上級司祭が、

「本当はおつぎせねばならんのですがな。
 略式でお許しください」

 と、人なつっこい笑顔を見せて言った。
 上級司祭が差し出したゴブレットに自分のそれを軽く合わせると、にぶい金属音が響いた。
 赤ワインを冷水で割ったものである。
 軽く一口味わうつもりだったが、あまりの心地よさに、ごくごくと飲み干してしまった。
 下僕がすかさず板を差し出したので、それにゴブレットを乗せた。
 下僕は、|壺《つぼ》からワインを|注《そそ》ぐと、板に乗せてちょうど取りやすい位置に差し出した。
 その手際のよさが、バルドの機嫌をさらによくした。

 今は七月だから、バルドがテルシア家に致仕を願い出て旅に出てから、ちょうど二年が過ぎた計算になる。
 それから二か月ほどしてバリ・トードと会ったのだから、この聖職者との付き合いは二年に満たない。
 しかも顔を合わせていたのは合わせても数日間にすぎない。
 それなのに、この人物は年来の旧友のように感じられた。
 相手もそう思ってくれていることが感じられ、それがうれしかった。

 明日はいよいよウェンデルラント王に謁見する日だ。
 相手がバルドにどんな用事があって呼びつけたかはしらないが、バルドのほうでも王にぜひに言いたいこと、訊きたいことがあった。

  待っておれよ、王よ。

 バルドはぶるると身震いした。

「いやいや。
 それにしてもまさか、あのジュルチャガがローエン卿に召し抱えられるとは。
 こんなおもしろい話は、とんと聞いたこともありませんな」

 バリ・トードがそう言うのも無理はない。
 まだ|平《ひら》の司祭にすぎず、|枢密顧問《すうみつこもん》の要職にも就いていなかった二年前、バリ・トードは勅使として大陸東部辺境に赴いた。
 病を得て死にかけたバリ・トードに薬を与え看病して命を助けたのがバルドであった。
 翌日、勅使一行の宿に賊が侵入した。
 しびれ薬を盛り、金目の物を盗み去ろうとしたのだが、バルドに捕らえられてしまった。
 その賊こそ、当時その地域で名の売れ始めた〈|腐肉あさり《ゴーラ・チェーザラ》〉のジュルチャガだったのである。

 そのとき村役に突き出されたジュルチャガが、ひと月後にはバルドの指示を受けて走り回っていた。
 バリ・トードは不思議に思いながらも、バルドに首根っこを押さえられて言うことを聞いているのだろうとしか思わなかった。

 だから、バルドがパルザム王国に入国したとき、ジュルチャガが供をしているのを知って、ひどく驚いた。
 ジュルチャガが一時はコエンデラ家に雇われバルドの敵となり、次に味方となったいきさつと、その後ともにした冒険の数々を聞いて、さらに驚いた。
 ジュルチャガがドリアテッサに同行してゴリオラ皇国の皇都に行き、なんと皇王その人に面謁し、準貴族の身分を与えられたと聞いて、のけぞらんばかりに驚いた。

 ジュルチャガは自分を下人として扱うようバリ・トードに頼み込んだ。
 バリ・トードはいたずらっ子そのものの顔でこれを了承した。
 以来毎日ジュルチャガは、薄汚い身なりでパルザムの王都をうろついている。
 トード家に帰って来ないこともある。

 バルドの宿舎に指定されたのはトード家である。
 バリ・トード上級司祭の本当の名は、バリアンクィズィガル・トードという。
 トード家の長子であったが、弟に家督を譲り神への奉仕に身を捧げた。
 格式の高い貴族家の子弟であるから〈特区〉の神殿に役職をもらえたのだが、あえて〈下街〉の神殿に入り、孤児院を営んだ。

 このトバクニ山はその全体が温泉である。
 そこここに湯が湧き出し、乳白色の岩肌を流れてゆく。
 くぼみには湯がたまり、あふれては下のくぼみに流れていく。
 なぜかその湯は青色をしている。
 貴族なら誰でも無料で使える温泉山なのである。
 今バルドとバリ・トードについている八人もの下僕は、みなバリ・トードの孤児院出身者だ。
 最有力にして最高待遇の就職先らしい。
 二人がつかっているくぼみは、山頂近くの最高の位置にある。

 「こんなときでもなければ枢密顧問の特権を使うこともありませんからな」

 と、バリ・トードは笑っていた。
 馬はふもとに預け、車輪つきの|輿《こし》でここまで登った。
 バルドは自分の足で登ると言ったのだが、バリ・トードは柔らかく首を横に振った。

  そうか。
  この者たちに仕事をさせねばのう。
  働かずに得た金は、ほどこしと変わらん。
  ほどこしで生きれば誇りを持てん。
  うむ。
  バリ・トード殿は、まことに優しい。

 二杯目のワインを飲み干したとき、板きれが差し出された。
 その上には皿が乗っており、皿には肉と野菜が盛られていた。
 トード家から持って来た料理だ。
 左をうかがうと、バリ・トード上級司祭は料理を手づかみで食べていた。
 それにならって、手で肉をつまんだ。

  むむ!
  むむ!
  カムラーめ。
  妙な味付けであったら、必ず文句を言ってやる。

 バルドは敵対心いっぱいで、肉片を舌に乗せた。

  うおおおおおおお!

 何たるうまさか。
 これは牛の肉だ。
 生に見えるが、生ではない。
 カムラーは、そんな物をわざわざ弁当にしたりしない。
 部位はおそらく背骨の脇だ。
 だが、この味は。
 しばらく噛みしめて奥深い味を楽しんでいるうちに、かすかな煙臭を感じた。
 それでこの料理の正体に見当がついた。
 背骨の脇の肉を丸ごと燻製して、そのまん中の赤い部分だけを切り出したのだ。
 悔しいが、うまいと思わずにはいられない。

 汚れた指をどうしようかと思ったが、バリ・トードがあふれだす湯で指をすすいでいるのを見て、同じようにした。





 2

 カムラーは、トード家の料理人である。
 貴族たちにとり、|晩餐《ばんさん》とは外交の戦場にも|斉《ひと》しい。
 他家とのやり取りで優位に立ち、利益と名誉を確保するには、料理と酒の質こそ重要なのだ。
 貴族家の料理人頭は、その外交の戦場における将軍といってよい。
 戦場で必ず勝てる将軍が君公にとって至宝であるのと同様、腕のよい料理人頭はまことに得難い存在なのだ。

 ただし、名将が人格者であるとは限らない。

 カムラーとは初めからそりが合わなかった。
 当家の料理人頭は名人であるから、どんな料理でもお申し付けいただければお出しできる、とトード家の当主に言われ、バルドは、ならばコルコルドゥルの生卵を掛けて混ぜた炊きプランが食べたい、と言った。
 しばらくすると、料理人頭であるカムラー自らが晩餐室に姿を現した。
 その物言いは、ごく上品で丁寧だった。
 言い換えれば、もって回った言い回しであり、慇懃無礼そのものだった。
 要約すれば、こうなる。

 コルコルドゥルの卵はまことに素晴らしい食材だが、生で食べたりすればどんな病気になるか分からない。
 そもそも鳥の卵を生で食べるのはけだもののすることであり、人間の、まして騎士のすることではない。
 プランを水で炊いて食べるのは野蛮人のやり方なので、そんなものを食べることをおおっぴらに口にしてはいけない。

 バルドはむかっとして、食べたい料理を訊かれたから答えたまでのことだが、当家ではわしの好みに合う料理は作れないということか、と言った。
 これはトード家の当主には相当に礼を欠いた言葉であったが、料理人頭のこんな無礼を許している当主こそ失礼である、とバルドは思っていた。
 カムラーは、薄笑いを浮かべながら、こう答えた。

「まさか、まさか。
 当家に用意できぬ食材などございません。
 また、人間のわざで作れる料理でわたくしめに作れぬ料理があるとは思えませぬ。
 お客様のご要望をお聞きして、その意をじゅうぶんにくみ取らしていただきまして、最高のおもてなしをご用意いたしますのが、あるじより言いつかっております職分にございますれば、その趣意をご説明申し上げたまでにござります」

 そう言ってカムラーは|厨《くりや》に下がった。
 ほどなく料理が出た。
 まずは二皿。
 ひどく気取った皿に、ちょこんと料理が乗せられている。
 一つは卵料理だ。
 火を通してかき混ぜてある。
 だが、これは。

 銀のスプーンですくった。
 まちがいない。
 刻んだマガリダケが混ぜられている。
 匂いのよさに思わず口に運んだ。

 うまい!

 何といううまさか。
 しかも、卵は、ある部分は火が通り、ある部分は生に近く、じつに複雑で楽しい。
 火の通った部分も、まったく硬くない。
 不思議なほどふわふわして、しかも香ばしい。
 ああ、しかも。
 何という甘さ。
 何とう|芳醇《ほうじゆん》な香り。
 コルコルドゥルの卵がこれほどの甘い香気をを放つとは知らなかった。
 それはこの卵を焼くとき、極めて上質なブイユ、つまり牛の乳から取った油を使っているからなのだが、それにして火加減が絶妙だ。

 それにしても不思議だ。
 ロードヴァン城からここに来るまでの道中で、コルコルドゥルの卵をブイユで焼いた料理は何度も食べた。
 中原の貴族にはごくなじみの深い料理であるらしい。
 コルコルドゥルの卵というのは非常に匂いにデリケートな食材だということをバルドは知った。
 他の食材の匂いがすぐに移ってしまうのである。
 マガリダケのような|癖《くせ》の強いきのこを混ぜたら嫌な匂いが移ってしまいそうなものなのに、全然それがない。
 マガリダケをかみしめて、その理由が分かった。
 マガリダケを先にさっと炒めて、香りを封じ込めてあるのだ。
 マガリダケはしゃきっとして、少しもその風味を失っていない。
 それなのに混ぜ込んである卵は、卵そのものである。
 悔しいが、見事な手際というほかない。

 憎たらしいことに、隣の皿には炊きプランが乗っている。
 炊きプランは野蛮人の食い物だとぬかしておったくせに、と腹を立てながら、ひと|匙《さじ》口に運んだ。

 何だ、これは?

 炊きプランにつきものの水っぽさがない。
 ぱりぱりで、ぷりぷりで、しこしこで、一粒一粒がしっかりしている。
 何たる歯ごたえ。
 染みだしてくる味の、何たる甘美。
 これは。
 これは。
 炊きプランでは、ない。
 しかも肉など一片も入っていないのに、|炙《あぶ》った肉の風味がある。
 知りたい。
 料理法を知りたい。

 カムラーに訊くか。
 いや。
 いや、いや、いや、いや。
 やつに頭を下げて教えを請うなど、とんでもない。
 わしの舌でこの料理の秘密を解き明かすまでよ。
 見ておれ、カムラー。

 だが、バルドの舌は、バルドが期待するほどの性能を持たなかった。
 結局調理法は分からないままだったのである。
 だが、心配は要らなかった。
 料理が進んだあと、カムラーのほうから説明に来たのだ。
 あちらから説明したいというなら聞いてやるぐらいの度量はあるわい、と思いながら説明に耳を傾けた。

 プランは炊いたのでなく、焼いたのであるという。
 焼き鍋に|牛乳油《ブイユ》を入れて温め、生のプランを入れる。
 焦がさないように気を付けながらかき回し続ける。
 何度かに分けて、熱で泡立てた牛乳油を注いでゆく。
 別の焼き鍋にたっぷりのキユプ油を入れて熱する。
 そこに牛のあばら肉を燻製してその外側をこそぎ取ったものをさっと入れて香りを移し取る。
 肉は引き上げてしまい、先に作り始めた焼きプランの半分を、この鍋に移してしっかり香りを付ける。
 最後に二つの鍋のプランを手早くかき混ぜる。
 こうしてあの単純にして複雑な焼きプランが完成したのである。

 これを卵のマガリダケあえと一緒に食べたうまさは格別だった。
 つまりこれは結局のところ卵掛けプランの一種といえなくない。
 そのあとの何皿かの料理も、ことごとく絶品だった。
 そして知ったのは、カムラーが牛乳油の使い方が実に巧みだということだ。
 その牛乳油は特別なものだ。
 カムラーが選んだ牛に、ある決まった草だけを食べさせるのだという。
 しかも料理により牛乳油の作り加減を変えているらしい。

 しかし最も驚くべき品は、最後にやってきた。
 料理が終わったので、締めの氷菓をお持ちしました、とカムラーが言った。
 氷菓などという言葉は聞いたこともない。
 ひどく小さな皿にちょこんと小さな饅頭のようなものが乗っている。
 添えられた小さなスプーンでそれをすくって口に入れたときの衝撃を、バルドは一生忘れないだろう。

 その料理は文字通り、氷、だったのだ。
 この真夏にである。
 ただの氷ではない。
 いくつかの果物のうまさを持つ雪のような氷を錬り固めた、天上の甘露だったのだ。
 そのひんやりとした至上の美味が口の中で溶け、喉の中を滑り落ちていくときの喜びは、これまで知っていた何にも似ていない。
 バルドは思わず泣きそうになった。
 自分の知らなかったこんなうまさが、ここにある。
 この世には、まだまだ自分の知らないうまい物があるに違いない。
 世界の広さを知った喜びで胸がいっぱいになった。

 呆然としているバルドの顔を見て、いやらしい笑いを浮かべ、カムラーは礼をして下がった。
 これがバルドがトード家に滞在した最初の夜の出来事である。
 この日から、バルドとカムラーの闘いが始まった。
 戦績は、バルドの全戦全敗である。

 三日目の夜にはこんなやり取りがあった。
 バルドは、料理の説明に出てきたカムラーにこう言ったのである。
 この家の料理はどれもうまいが、パンだけはそうでもないと。
 ロードヴァン城を出ていくつもの国を通り数々の屋敷に宿を借りたが、どのパンも非常に美味だった。
 それに比べれば、トード家のパンは少し落ちる気がしたのである。
 カムラーは、子どもに教え諭すような調子で、こう言った。

「バルド・ローエン様。
 おいしいパンなど、いくらでも作れます。
 しかし、料理の添え物にするパンは、おいしすぎてはいけないのです。
 よろしいですかな。
 先ほどの肉料理は非常に味の強い肉であり、それに負けない強いソースを掛けて召し上がっていただきました。
 あの肉とソースの味に勝つようなパンをお出ししたら、肉の味はぼやけてしまうでしょう。
 それはよいパンとはいえないのです。
 しからば、よいパンとは、どういうパンか。
 いかに癖のある魚や、強い味付けの肉を食べても、そのパンを一切れ食しただけで、口の中がきれいに洗い清められ、舌は敏感さを取り戻し、次の一口が新鮮そのものの味となる。
 それこそがよいパンなのでございます。
 それだけではありませぬ。
 食材から出た汁をそのパンに付けて食べれば、その食材の本当のおいしさを味わうことができる。
 食材を邪魔せず殺さず、ひき立て、引き出し、最高の味を発揮させる。
 それこそがよいパンなのでございます。
 剣と盾では役が違いましょう。
 晩餐のパンのうまみが足りないとおっしゃるのは、盾の切れ味が悪いとおっしゃるのも同じにございます。
 よそでおっしゃれば子どもに笑われますので、あなたさまの名誉のため|敢《あ》えて申し上げる次第にございます。
 もっとも、まだまだわたくしめも修行の途中でございまして、ガルデガット・ライエンで神々が食されるようなパンには及びもつきませんでしょう。
 お気に召しませぬ点は、どうかご寛容をもってお許しくださいませ」

 へりくだっているようで、全然へりくだっていない。
 天上のパンには及ばないかもしれないということは、地上にはこれ以上のパンはないと言っているのも同然である。
 しかし振り返ってみれば確かにカムラーのパンは、そういうパンである。
 この場はカムラーの勝ちというしかない。
 しかも腹立たしいことに、このカムラーの教えのおかげで、次の日からより深く食事を味わうことができるようになってしまったのである。






************************************************
4月4日「カムラー(後編)」に続く

10.26_234
egxcz
信頼を。真人や千春に対するそれをだ。希望はその人にも抱いていた。
 そしてそれ故にだ。こう言えたのである。
「僕の家族のことも知ってるから」
「では」
「その方がいいかな」
 腕を組み考える顔になってだ。希望は述べた。
「やっぱり」
「一人で暮らされるよりは。家賃や食費のこともありますし」
「それにガス代や水道代も」
「一人暮らしはお金がかかります」
 真人はその現実を述べた。それだけだがそこに含まれているものは切実なものだった。
「ですから。それはです」
「しない方がいいんだね」
「僕はそう思います。ですから」
「家を出ても」
「はい、一人暮らしは止めておきましょう」
 こう希望に言うのだった。くれぐれもといった口調で。
「今はその分学業やスポーツに励まれた方がです」
「いいんだね」
「そう思ハワイ ugg
ugg 新作
ugg dakota
います」
 この考えも希望に告げた真人だった。
「ですから本当に」
「それがいいかな」
「成績を上げて。痩せたいのですよね」
「もう馬鹿って言われたくないよ」
 暗く。嫌な過去を思い出しながら。希望は答えた。
「それに。太ってるって言われるのはね」
「それもですね」
「嫌だよ。陰口を叩かれて悪口を言われるのは」
「なら余計にです」
「一人暮らしよりも」
「そちらが励める状況におられることの方がです」
「僕にとっていいんだね」
 希望は真人の言葉を聞きながら述べた。第八話 友情もその十三

「とても。ですからそれは」
「そうだね。けれどね」
「それでもですか」
「お金とか

1017_668
egxcz
膝螗譬`プででも貼ったんだろうけど、こんなことをする人間はうちには一人しかいませんな。

「おーい、カカー!」

 呼びながら部屋に入ると、そこにはでっかい白い布を身体に巻きつけて人間テルテル坊主になりながら、能天気な表情でテレビを見ている我が妹の姿が。

 なんじゃこりゃ。

「どうしたの、おまえ」

「あのね、トメ兄」

 ボケーっとした声で香加が言った。眠いのかな。

「明日さ、マラソンなんだ」

「……へぇ」

「だから、晴れるといいなって」

「マラソン好きなのか」

「だって走っburberry black label
バーバリー ジャケット
バーバリー 福袋
てるだけだよ? 楽じゃん」

 そういえばこの娘は妙に体力があるんだった。ヘタすれば運動不足の僕よりも。

「天気が回復するまでテルテル坊主このままね」

「……まぁ、いいけど」

 ちなみに外は雨が降っている。

 だがしかし、翌日は見事に晴れてしまった。



 仕事を終えて僕が家に帰ってくると、再び大量のテルテル坊主が迎えてくれました。

 なぜかそれに描かれた顔は涙を流していました。ずらりと並んでいると葬式場みたいです。

 どうやらこの前のでテルテル坊主がブームになったようです。

「おーい、カカー!」

 呼びながら部屋に入ると、そこにはでっかい白い布を身体に巻きつけて人間テルテル坊主になりながら、ひたすら涙を流してテレビを見ている我が妹の姿が。

 なにがあったのだ。

「どうしたの、おまえ」

「あのね、トメ兄」

 悲しそうな声で香加が言った。

「今日さ、友達とケンカしたんだ」

「……へぇ」

「だから、悲しくて」

「自分が悪いと思ってるのか」

「だから泣いてるん

1017_307
egxcz
à皮搿?
その手際が何ともスピーディなのだ。

「源ちゃん、もう少し髪伸ばせば良いのに???。」
「えっ! の、伸ばすんですか?」
「う、うん???。その方がカッコ良いと思う。少なくとも、美貴はその方が好き。」
「う、う~ん???。」
源次郎は唸るだけになる。

別に、髪を伸ばすことは吝かでは無い。
この髪型だって、東京の下宿の近くで、一番安い散髪屋で刈ってもらったものだ。
髪型云々より、値段が安いことが一番だった。
そんなことより、今、美由紀が自分のことを「美貴」と言ったことの方が大きかった。

「どうかしたの?」
黙ってしまった源次郎に向かって美由紀が訊いてくる。
しかも、鏡の中を通してだ。

「い、いえ???、別に???。」
源次郎は、鏡の中の美由紀にそう答える。

「??????。」
美由紀は、その源次郎の言葉に反応しなかった。
ただ、黙々と手を動かせている。


「はい。これでどう?」
1分ほどして、ようやく美由紀ヴィトン 新作
louis vuitton 財布
ルィヴィトン
が源次郎の髪から手を離した。

「ああ、良いです。いつもの僕じゃないみたいで???。」
源次郎は照れる思いでそれだけを言う。
先ほどからじっと鏡に映る自分を見ていて、正直、本気で自分じゃあないと思えていた。
それほどまでに、変わっていた。

「女は化粧でどうにでも化けられる」と言われるが、それは男でも同じじゃないかとまで思えていた。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)する (その1027)

ひとつには、いつもとはまったく違う服装だった事があるだろう。
しかも、それを選んだのは自分ではない。
で、おまけに、この髪型だ。

いや、髪型そのものはそんなには違わない。
ただ

,シャネル メンズ バッグ,シャネル トート
egxcz
あなたが合うように調整することができますので ちょうどあなたが見たりメンズ コート バーバリー すべての製品は、指定の店で最近販売カーハートで予想されますが、東京店舗分布を含んでいます一般的にそうであるようにがあることがわかります そこのように真http://ameblo.jp/chuang79 また、特別な支援のためのソリッドゴムとニシンの骨を持っていますロレックス 名古屋バイス?ブランド上級副社長は述べています。 ストレ



あなたのビジネスへの投資など、従来のペットショップを選択すると、あなたが考慮する必要がある特定のものがあります、並木、蔵前(くらまえシューズ 通販 アディダスOriginalsのキャンパス

レアンズ80 DPT MME SI DANSレアンズ1970 TT depuisルTournoiアディダス、puis rebaptiseキャンパスMME SI見るdanshttp://ameblo.jp/chuang202 あなたが一度に4つのタイヤを交換する余裕がない場合は、常に後方に新しいタイヤを置く 加硫ゴムの靴底は、彼らにさらなるグリップ力と柔軟性を提供しますメンズアバクロンビー&フィッチショートパンツナイキ環境Fatmus 2010年あなたをダウンさせる可能性が」
 するとある年のなたら(降誕祭(クリスマス))の夜(よ)、悪魔(あくま)は何人かの役人と一しょに、突然孫七(まごしち)の家(いえ)へはいって来た認(みと)めになる指環(ゆびわ) また、共通の具体的にプロスケート想定割引ナイキの靴を追加し、上品と一緒に良く見えるそれらの有名人-allは

N1803G-423
egxcz
第二十二話 主天その二十二

「隠れることも攻撃を仕掛けることもな」
「そして影を狙う方が得意か」
「そうだ。影を狙えばだ」
 魔物は告げた。miumiu メンズ
「下手に身体を狙うよりも傷付けられるからだ」
「そうらしいな。しかし影を狙うとわかっていればだ」
 死神は魔物の言葉を逆手に取るような言葉を出すことになった。
「そこを狙えばいいだけだ。それだけだ」
「それだけか。成程な」
「これでわかったな」
 死神と影喰らいの言葉は終わりに近付いていた。言葉のトーンもそれを象徴するかの様に静かで落ち着いたものになってきていた。
「狙う対象がわかっていたら楽になる」
miumiu ブレスレット

バッグ ブランド 人気
「そういうことか。どうやら貴様の方が上手のようだな」
「わかったら安心して逝け」
 死神に相応しい言葉であった。
「冥界にな」
「逝くとしよう。無念だが認めるしかない」
 両方が重なった言葉であった。
「それではな」
「これでまた一つだな」
 魔物は赤い炎にその全身を包まれて逝った。これで死神の戦いは終わった。
 しかし髑髏天使首無し騎士の戦いは続いていた。騎士の左手の槍は飛ぶ様に進むコースターの中で相変わらず素早い攻撃を見せていた。
 髑髏天使はその攻撃を受けるばかりであった。左手での攻撃は相手に通用しない。その差が徐々に出て来ている状況だった。
「さあ。どうするのだ」
 攻撃を繰り出し続ける魔物が髑髏天使に問うてきた。
「この攻撃を前にしては間合いを取ることも飛ぶこともできない」
「確かにな」
 髑髏天使も忌々しい声色だったがそれを認めるしかなかった。相変わらず魔物の槍による攻撃を何とか防いでいる状況であるからだ。
「だが。俺は倒されることはしない」
 それでもこう言う髑髏天使だった。
「何があろうともだ」
「しかし私の槍は防げなくなってきている」 
 魔物は言うのだった。
「見ろ」
 そして一撃を出すとだった。
 今の一撃は防ぎきれなかった。剣を弾きそのまま右肩を突き刺した。魔物の槍が遂に髑髏天使を捉えてしまったのだ。
「うっ・・・・・・」
「疲れが出て来たな」
 魔物の言葉が笑ったものになっていた。
「いずれはこうなる運命だった」
「そうかも知れない」
 髑髏天使はすぐに間合いを離した。後ろに飛んで次の攻撃をかわした。だが右肩の傷は確かなものであり彼に確実なダメージを与えていた。
「だが。俺はまだ闘う」
「死ぬまでということだな」
「魔物の闘いは生きるか死ぬかだったな」
 このことを話すのであった。
「それは俺もだ」
「髑髏天使もか」
「そうだ。俺の闘いも生きるか死ぬかだ」
「その闘いは」
「そういうことだ。だからだ」
 そしてまた言うのであった。
「この程度で退くつもりはない」
「見事だな」
 魔物はその彼の心を見て素直に評してきた。
「その闘いへの気構えはな。賞賛すべきものだ」
「そしてそれだけではない」 
 強い目での言葉であった。
「貴様を倒す」
 その目で言うのであった。

N1803G-100
egxcz
第七話 九階その八

「あの人はよ」
「まあそうだね」
 否定できないものがそこにはあった。
「あの研究室の前通ると変な感じする時あるし」
「それは気のせいだな」
 牧村は妖怪達のことはこう言って隠した。
gucci メンズ 財布

gucci 財布 メンズ
「気にするな」
「そうかな。かなり気になるよ」
「気にするなっていう方が無理だろ」
 金髪もそれに続く。
「まあとにかく話を聞いてわかるのならね」
「聞いたらいいさ」
 二人もここでは博士と話すことを勧めた。
「じゃあ僕達はここでね」
「またな」
「講義か」
「うん、そうなんだ」
「俺もだ」
 二人共こう言って話をする。
「だからね。また」
「丁度飲み終わったしな」
「そうか。ではまたな」
「うん。そうそう」
 また言う眼鏡だった。
「一つ気になるんだけれど」
「どうした?」
「面白い話だけれどね」
 こう彼に話してきた。
「今君テニスとフェシングやってるじゃない」
「ああ」
「それでいいスポーツ用品店見つけたんだけれど」
「それか」
「そう。興味あるよね」
 このことを牧村に対して問うてきた。
「このことは」
「そうだな。テニスのラケットが欲しいと思っていた」
「そうなんだ、やっぱり」
「大きさはどれだけのものがいいかな」
「そこは人それぞれだからね」
 眼鏡の返事は今回はあまりはっきりしたものではなかった。
「合ったの選ぶといいよ」
「合ったのをか」
「牧村君はさ」
「ああ」
「どんな感じのプレイがしたいの?」
 こう牧村に対して尋ねてきた。彼にしては純粋にテニスの話をしていた。しかしそれでも牧村にとっては闘う為のトレーニングなのだ。ここに大きな違いがあったが相手がこのことについて知る由はなかった。知らなくて当然のことであったし彼も気付くことはなかった。
「一体さ」
「足を使ったものがやりたいな」
「インサイドワークだね」
「そうだ」
 答える牧村だった。
「そうしたテニスがしたい」
「フットワークなんだ」
「そうだ。それならラケットは」
「そんなに大きいものを持つ必要はないよ」
 眼鏡のアドバイスだった。
「別にね」gucci 財布
「そうか。では適度のものでいいな」
「そういうこと。そういえば牧村君てさ」
「何だ?」
「フェシングで突くだけじゃなくて斬るのもやりだしたんだよね」
「サーベルか」
「最初からやってたっけ」
 また彼に問うてきた。
「それは」
「そうだ。最初からだ」
 このことを隠すことはなかった。

You are viewing egxcz